previous arrow
next arrow

コーネル大学RMPジャパン事務局からのお知らせ

Program Director’s Eye

米国、食物由来の肉製品のブームが・・・

コロナ禍の前、19年の訪米時に話題となっていた商品群に食物由来の肉製品があった。特にビルゲーツが出資して話題の「Beyond Meat」社が有名であり、印象深かったが、豆などの植物を利用した”ビヨンドバーガー”は、本物の肉と見た目も味も変わらないとバカ売れしていた。この企業株も公開時25ドルがわずか3カ月足らずで230ドルと、10倍を伺う急騰していた。食糧問題は、当時も注目のテーマであり、長期的にも注目されていた。

▼MacDonaldも21年に菜食主義者を取り込むため代替肉ハンバーガー「Mc Plant」を一部店舗でテスト販売した。これが、Beyond Meatと提携して開発したハンバーガーなのだ。ただし、翌年には実験的な販売を中止、「Mc Plantうまくいかなかった」と失敗を認めている。代替肉マーケットも同様な経緯を辿って、19年の8.6億ドルから翌年には13億ドルと急成長したが、21年12億ドル、23年には11億ドルとブームが去ったように縮小している。

▼人気の陰りの理由としては、代替肉の味、食感、匂いは食欲をそそらないという。市場調査でも、代替肉をおいしいと答えた人は20%ほどだったという。その上、値段が高すぎる。代替肉の価格は平均して本物より67%も高く、コスト意識の高い消費者にとっては高級品となっている。また、代替肉のパッケージには、一般人が聞いたこともないような化学物質が列挙されており、もはや植物肉が健康的と考える人は減少しているようだ。

▼代替肉へのシフトが環境に優しいとされていても、多くの人は嗜好を変えないという研究結果もある。なにより米国文化に合わないのかも知れない。むしろ欧州で好調のようだ。植民地時代から肉食の国である米国では、過去に何度も肉を避けることが流行したが、結局代用品に求めたのは肉の味だった。話題には乗るが市場は停滞し、崩壊してきた。Beyond Meatの株価もバブルが弾けて最高値の97%減、3ドル台にまで落ち込んでいるという。日本での市場動向が気になるところだ。

2025/03/14